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どうぶつ畑

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帰化動物について

見ていただけてうれしいのですが実はまだ・・・。こういったことは下手にかけないのでいまきちんとした情報をお届けできるように勉強中です。とりあえず気楽なお話口調で、日本固有種にポイントを置いて今書ける範囲でやってみたいと思います。

 さて、「帰化動物」と聞いてみなさんはどんなことを考えますか?「帰化動物」とは『人間の媒介によって渡来した動物がその土地の気候や風土になじみ、自活・繁栄するようになったものたちのこと』を言います。日本の帰化動物にはどんな動物がいるとおもいますか?ブラックバスやメダカは一時期、かなりニュースで流れていたので記憶に新しい方もいるのではないでしょうか。他にもいろいろいますが代表的なものでアライグマ・ヤギ・アカミミがメ・チョウセンシマリス・マングース・コウライキジなどがいます。彼らはみな日本の気候に順応し増えていきました。
 新しい環境に耐え、その土地を自分たちの棲家にしてしまう、彼らの適応力は凄まじいものです。それはつまり返して言えばそこに住む動物の種や数が増えたということ。自然には生態系が存在します。お互いが複雑に絡み合いちょうどいいバランスを取っているのです。そこにいままでいなかった種が入ってきてしかも居座ってしまったとなれば問題が起こらないはずがありません。食べ物が重複する種なら、そこで食べ物の不足が出てきます。捕食の関係ならばそこにもともといた種は生命の危機に立たされます(例えばマングースと奄美諸島の動物のように)。結果、今までそこで暮らしていた種が絶滅しかねない状況がでてきます。絶滅、というと自然破壊や乱獲だけが妙にクローズアップされて騒がれていますが、ヒトがかなり自由に各国を行き来できるようになり物流が盛んになった現代こそ、もっと帰化動物・外来種問題について取り上げられるべきなのではと思います。
 外来種が日本にやってくるきっかけというのは様々です。身近なものでは旅行者の靴底に種がついて来た(これは植物ですが)、果物に小さな虫がついて来たなど。海外旅行された方ならご存知かと思いますが国によってはある特定な品物(果物など)を持ち込みあるいは持ち出し禁止としています。これはそこについたものが国内に持ち込まれることによって生態系や農業に甚大な影響を及ぼす可能性があるからです。今は様々な生ものが輸入されそれらが私たちの食卓を飾っていますが、そういったものについて運ばれ帰化動物になる例もあります。なんとモンシロチョウも帰化動物なんだそうです。キャベツについて伝播したそうですよ。他にはヒトが意図的に放したもの、たとえば狩りをするために放した、とかある動物を捕食してもらう手間に放した、などです。前者にコウライキジ・アナウサギ、後者にマングースがいます。帰化動物の影響のひとつに雑種をつくってしまうということがありますが、日本の国鳥であるニホンキジとコウライキジがこの関係にあります。今では純粋なニホンキジはもう残っていないといわれています。またオーストラリアではカイウサギの原種アナウサギが野生化して大繁殖し、植物を食べ尽くし砂漠化し、原産種の有袋類に大きな打撃を与えています。
 あとは商業のための持込。最近のペットショップには多種多様な動物が並んでいてその多くがかなり安価な値段で購入できるようになりました。その結果ペットとして飼われていたものが逃げ出す、または捨てられるなどして大きな問題になっています。ミシシッピアカミミガメがいい例です。いわゆるミドリガメです。たいていそこらの川にいるのはアカミミガメ。日本にもともといたイシガメはいまではかなり数を減らしてしまいました。これは水質汚染にも問題はあるとは思いますが。アカミミガメは魚も食べるのでそこに生息していた小魚などの数を減らす原因にもなっています。それが日本固有種ならそれは絶滅の危機を意味します。私の勤めている動物園にも飼いきれなくなったアカミミガメが捨てられていたり、引き取ってくれないかといった電話がよくあります。なんでもそうですが生き物を飼うときはどのくらい生きるとか、どういう生態なのかなどをよく勉強してから購入するべきです。このような身勝手が日本固有の種を絶滅に追いやっているということをもっと自覚しなくてはいけません。
 くりくりおめめに長いしっぽ、しましま模様のチョウセンシマリスも帰化動物として日本の固有種に大きな影響を与えています。ペットショップで売られているいわゆるシマリスのことです。えっ!?と思われた方もいらっしゃるでしょうが、本来日本には北海道意外のところにシマリスは生息していません。ちなみにシマリス類はジリスと樹上棲リスの中間的な存在。そのシマリスが逃げたり捨てられたりして野生化し、世界中で日本の本州・四国・九州だけに生息するヤマネを絶滅に追い込むことが危惧されています。国の天然記念物に指定されているヤマネはシマリスとニッチ(生態的地位)がほとんど同じ。北海道には日本で唯一シマリス(エゾシマリス)が生息していますが、ヤマネはいません。つまり本来同じところには住んでいない(あるいは住めない?)生き物なんです。このような問題はヤマネに限ったことではありませんが、それに対する有効な対策が取られているようには思えません。固有種を絶滅に追いやる可能性のある動物が普通に売られ、しかも生態系に関する説明やフォローが全くなされていない。ペットショップの中には利益を優先するあまりそのようなイメージダウンにつながるような説明は敬遠されるのかもしれませんが販売する以上きちんと説明をされるべきです。ですがやはり最も重要なのは購入する側の意識。カメのところでも書きましたが、その動物がどのような生態を持つのかどういった経緯でペットとして位置付けられているのか、バックグラウンド的な知識と情報の収集に尽力していただきたいと思います。我が園にもシマリスが一匹いますが、彼は幼いときにどこかの公園で保護されたものです。実はお恥ずかしい話ですが何度か脱走もされています。そのたびにスタッフ総出で捕獲にかかります。捕まらなかったら、と思うといつも冷や汗ものです。種の保全を謳っている動物園が帰化動物をだしているのではなんとも情けない話です。今は二重扉にさらにケージ、という環境で我がシマリスは飼育されていますがそれでも脱走の可能性はゼロではありません。いくつかの動物園や施設などもシマリスは飼育されていますが完全な脱走防止策とられているかは疑問です。ある施設では客寄せのために餌付けをして放し飼いにしているところもあるそうです。
 ペットには一時的なブームがあります。何年か前はハスキー犬に人気が集まり、どこにいってもハスキー犬という時代がありました。その後彼らがたどったのは飼いきれなくなり捨てられる、というものでした。ハスキー犬の生態を良く知らず、ブームに乗って購入した結果でしょう。彼らの生態を知っていれば、ハスキー犬がどんなに運動量が多いか、夏にはどんなケアが必要か、など容易に理解できるはずです。幸い(というべきなのか)日本は野犬に対する措置は早く、彼らが野生化して増える、なんてことはありませんでしたが、措置が取られずそのまま帰化動物になったものにアライグマがいます。アカミミガメ、シマリスもその一例です。最近ではウサギがとても人気があり様々なものが売られていますが、日本ではすでに一部の島で野生化が起こっています。ペットとして飼われているカイウサギは野生化するとやがて原種であるアナウサギに戻っていきます。ウサギは我が動物園では捨てられる動物ナンバー1。ある飼い主はわざわざ電話してきて「寄付してやった。ウサギはどうしてる?」などと言いやがりました。このような無責任な飼い主が日々帰化動物をうんでいます。ペットとして馴染みの深い動物も十分帰化動物になる可能性を持っている、ということを忘れないでください。

 気楽に書くつもりがかなり長く濃い内容になってしまいました。はじめにもかきましたがまだまだ勉強中なので今後更新を重ねてより充実した内容にしていきたいと思います。尚上記の文を書くに当たって今井忠明・佐藤晴美両氏の「絶滅する日本の動物」(講談社)を参考にさせていただきました。


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